英語中級者向けに発音とアクセントを改善する方法 by Richard Imaoka
TL;DR
この記事は私が体験して効果的だと思った方法の紹介です。一言で言うとこの2冊の本を中心に学んでほしい、ということです。
- Mastering the American Accent with Downloadable Audio (Barron's Foreign Language Guides)
- American Accent Training: With Downloadable Audio (American Accent Traning)
ここから先はこの2冊をおすすめする背景と、適宜使うと良い補助の教材の紹介をしていきます。
私の英語力と英語履歴
新卒から9年間の外資づとめの後2年間日本の会社で働いて、今年の1月から英語ネイティブ並みの発音を目指して再特訓中です。9年外資に勤めてもずっと日本人なまりの英語のままでした。ちなみに大学卒業までは一歩も日本から出たことはありません。
英語で書かれた英語教材には世界中の英語学習者向けの知見が詰まっている
みなさんはEnglish as Second Language略してESLという言葉をご存知でしょうか?「第2言語としての英語」という意味で、アメリカ及びイギリスには世界中から非英語ネイティブの英語学習者が集まるので、ESL教育、つまり第2言語として英語を学ぶ人達への英語教育が学問としても研究されていますし、教育の現場でも長年に渡って知見が積み重なっています。
こうして積み重なった研究や教育現場の成果は「英語で書かれた英語教材」として出回っていて、結果英語で書かれた英語教材の方が他言語で書かれた英語教材より質の良いものがたくさんあると言える状態になっています。
もちろん、英語で書かれた英語教材を理解するにはそれなりの英語レベルに達している必要があるので、初心者は日本語で書かれた英語教材を積極的に活用するとよいでしょう。そして中級者以上になったら、この記事の最初に紹介した教材などを使って学習すると効果的です。これらは非英語ネイティブがネイティブ並みに上達する過程で使われることのある教材です。
他の分野は他の教材を
今回は発音とアクセントの話だけです。ライティングとか、他の英語技能は他の教材をつかってください。あとこの記事はアメリカ英語の話で、イギリス英語の話は別です。
網羅性と良心的な価格から今回紹介した2冊をおすすめ
英語のように学習すべき内容が安定している分野は、「定番の教科書」に頼るのが良い方法の一つと言えるでしょう。私が上に挙げた2冊も定番と言える本で、複数の版を重ねています。好きな方を買えばいいと思いますし、私のおすすめは2冊とも買って苦手部分を2冊目で補強することです。両方買っても6000円くらいですかね。どちらも購入後に音声教材がダウンロード可能です。絶対音声はダウンロードしてください。
最近は本だけでなくUdemyのコースやYouTubeの無料動画など動画形式の教材も増えてきました。良い動画教材もたくさんありますが、私が調べた中では網羅性を考えると上の2冊の本に敵うほどの教材は発見できませんでした。上の2冊をしっかり勉強すればその他の動画は「本で習ったことのある話」だと感じると思います。無駄な話が少なく、解説の洗練度合いも版を重ねた本のほうが良いと私は感じます。 ただし、補助教材として使うなら動画も効果的だと思います。
もちろん、どうしても私個人が探した中での話なので、私が挙げた本より良い教材があるかもしれません。あなたがもっと良いと思う教材を見つけたら積極的に試してみましょう。自分で探した教材で学ぶのが一番やる気が出ます。
補助教材としての動画紹介
これらの本に挑戦しようと思ったけど、その一歩手前のレッスンがほしいと思う方にはここに紹介する動画などを活用してみてください。まさに先に述べた「補助教材」としての使い方です。私もこれらの動画と本を行ったり来たりして今も学習を続けています。
上の動画はかなり古いですが、8分と短めの時間で英語母音の発声の仕方を一通り学ぶことができます。この動画のマネをしていくと、自分の苦手な部分や区別が付きづらい母音に気づくでしょう。母音だけでなく子音版の動画もあります。
自分の苦手な母音がわかったら次はこの
で苦手な部分を繰り返し練習してみると良いでしょう。
母音だけのinterative chartで子音のinteractive chartはありませんが、役に立ちます。よく日本人はvとbの違いだとか、子音の区別が苦手だと言われますが母音も大概苦手です。そもそも英語の母音全部の種類把握している日本人英語学習者は少ないと思います。 私は英語学習11年目、つい2ヶ月くらい前にようやく把握しました。(学生時代含めると20年以上…)
本にそって練習したし上の動画も見たけど、母音と子音のいくつかについてはネイティブの音を再現できないという人もいるでしょう。そういう人にはこちらの動画。動画リストになっているのでリンク先へ飛んでいって、それぞれの苦手な母音または子音の動画へ更に飛んでください。
私が知る中では一番、一つひとつの音の出し方を丁寧に解説しています。その分全部この動画を見ながら繰り返し練習していたら時間がかかります。最後まで残った苦手の克服に使うと良いでしょう。
ELSA Speakは効果的、しかしカバーできない範囲もある
英語学習者には有名なELSA Speakというアプリがあり、スマホのマイクに向かって例文をしゃべるとアプリが「100%中の何%」という形で採点してくれます。
確かに流行るだけあって良いアプリなのです。リアルタイムで自分の発音を点数化してくれるというのは他ではなかなかお目にかかれませんし、その精度がこのアプリのセールスポイントです。
ただしレッスンの構成に網羅性が足りず、子音系は充実していますが母音系は充実していません。そしてアクセントに関してはほとんどトレーニングしてくれません。やはりこのアプリも、補助教材として使うと有効に使いこなせるのではないでしょうか?私もそういう使い方をしています。
文章レベルのstressについて
抑揚の少ない日本語に比べ、英語では抑揚、stressを正しくつけることがネイティブらしい発音の最重要ポイントになります。
Word stressつまり一つの単語の中でどの音節にstressを置くかのルールは比較的単純です。
しかしsentence stress、つまり一つの文のレベルでどの単語を強調するかというのは英語アクセントの中でも非常に難しい技能です。これらは本や動画をみても、ルールの一部は解説されていますが網羅的で完璧なルールを解説しているものを少なくとも私は見つけられませんでした。
Sentence stressは本や動画で学んだルールをある程度覚えたら、あとはひたすら音声をきいて、自分で協調されている単語を聞き取って慣れていくしかないと思います。私の場合はこうやって文字起こしに黄色線を引くなどして練習しています。
最後にやる気の出るかもしれない話をちょっと
大人になってからはネイティブ並みの発音を身につけるのは難しいです。それは不可能だと思っている人もたくさんいると思いますが、私はそう思っていません。
エモい話を押し付けるのは嫌いなので、「努力をすればこの人のようになれる!」というつもりはありません。ですが練習量と環境によっては20歳を超えてからネイティブ並みの英語発音を手に入れた人もいるという例でこの動画を紹介します。
When I was 20 I moved to NY to study acting with a dream and a foreign accent. Today, 16 years later, I'm a speech and English coach that has worked with hundreds of students from all over the world. This is my story.
なんと非英語ネイティブなのに今や英語を教える側になっている人です。
これは私の持論ですが、この「大人になったらネイティブの英語発音を身に着けられない」説は能力だとか脳の機能的な話じゃなくて、時間の問題が一番大きいんだと思います。大人は学生に比べて英語学習のためだけに時間を作るのが非常に難しいです。
英語の発音をスキルという観点から捉えると、正しい口の形と正しい舌の位置、正しい声帯の使い方さえできていればネイティブと同じ発音に聞こえます。これは筋肉の動作なのでスポーツと一緒、練習すればできるようになるものだと思います。別にエモい話ではなく物理の現象です。同じ音を出すための条件が整えば同じ音が聞こえるはずで、その条件は筋肉の動作によって作り出せます。
最後に冒頭で紹介した本のうちの一冊American Accent Trainingからこちらを引用して記事を終わりにしようと思います。
実際に私自身が読み上げてみました。まだネイティブには届きませんが、5ヶ月でだいぶナチュラルになってきたと思います。